ケトン体代謝Q&A

多く質問があったことについて今後一般化したあとでQ&Aをとして掲載していく予定です。ぜひケトン体、ケトン体代謝異常に関する質問をおよせください。このQ&Aが充実して参考になれば幸いです。

Q1 乳幼児嘔吐下痢症で、血液のケトン体を測定したら3000μmol/Lだった。これはケトン体代謝の異常を疑うべきか?

Q2 痙攣で救急にきた2歳の子が血糖30mg/dlで、そのとき尿ケトン体強陽性だった。血中のケトン体測定したら5000μmol/Lだった。異常か?

Q3 痙攣で救急にきた2歳の子が血糖30mg/dlで、そのとき尿ケトン体強陽性だった。血中のケトン体測定したら1000μmol/Lだった。異常か?

Q4 新生児で尿ケトン体が2+だった。異常か?

Q5 新生児でほ乳が今1つのなので、血液のケトンを測定したら1000μmol/Lだった。異常か?

Q6 ケトアシドーシス発作において血液ガスの結果が重要であることはわかりますが、血液ガスが測定できない医院などでは、どのようにしたらいいのでしょうか?

Q7 アセトン血性嘔吐症やケトン性低血糖症のような反復性のケトーシスのある患者さんいおいて、ケトン体代謝異常症を疑ってどこまで検査しておくべきでしょうか?


Q1 乳幼児嘔吐下痢症で、血液のケトン体を測定したら3000μmol/Lだった。これはケトン体代謝の異常を疑うべきか?

A1 乳幼児下痢症では、嘔吐とそれに伴う食欲低下、異化状態になるため、ケトン体産生が著しく亢進しますので、尿ケトン強陽性、血中ケトン体が3000-5000μmol/L程度の上昇はあります。この場合遊離脂肪酸も2mmol/L
とか十分に上昇していることが多いです。


Q2 痙攣で救急にきた2歳の子が血糖30mg/dlで、そのとき尿ケトン体強陽性だった。血中のケトン体測定したら5000μmol/Lだった。異常か?

A2 低血糖にしないための反応として、通常であれば低血糖になる前にケトン体の産生亢進がつよく起こります。ですから血糖が30mg/dlと低血糖になっていれば、ケトン体はケトアシドーシスに近いレベルまで上昇しているのが生理的な反応です。5000μmol/Lまで上昇していてまったく不自然ではありません。


Q3 痙攣で救急にきた2歳の子が血糖30mg/dlで、そのとき尿ケトン体強陽性だった。血中のケトン体測定したら1000μmol/Lだった。異常か?

A3 低血糖にしないための反応として、通常であれば低血糖になる前にケトン体の産生亢進がつよく起こります。ですから血糖が30mg/dlと低血糖になっていれば、ケトン体はケトアシドーシスに近いレベルまで上昇しているのが生理的な反応です。この症例では1000μmol/Lで、ケトンの上昇は低血糖であることに比べ悪いと考えなくては行けません。これで遊離脂肪酸が2mMのように上昇していれば脂肪酸β酸化系異常症、ケトン体産生異常症を疑う必要があります。


Q4 新生児で尿ケトン体が2+だった。異常か?

A4  新生児で尿ケトン体が陽性であれば、代謝異常症を疑うべきだと言われています。異常と考えて、血糖、血液ガス、アンモニア、有機酸分析などと、血中ケトン体、遊離脂肪酸の測定をして、原因を追求してください。
新生児期発症のメチルマロン酸血症、プロピオン酸血症、イソ吉草酸血症などの有機酸代謝異常症やSCOT欠損症などが疑われます。


Q5 新生児でほ乳が今1つのなので、血液のケトンを測定したら1000μmol/Lだった。異常か?

A5 新生児で尿ケトン陽性は異常を疑う必要が有りますが、実際血中ケトン体は高値のことがあり、1000μmol/Lであるからすぐに異常というわけではありません。しかし血糖、血液ガスで経過を追うことは重要です。母乳栄養児のほうが、ミルク栄養児より血中ケトン体が高いことが知られており、また遊離脂肪酸も同時に上昇しています。


Q6 ケトアシドーシス発作において血液ガスの結果が重要であることはわかりますが、血液ガスが測定できない医院などでは、どのようにしたらいいのでしょうか?

A6 ケトアシドーシスが強いと、代償性に多呼吸となります。このため努力呼吸、多呼吸が有る場合には、重篤な呼吸障害か重篤な代謝性アシドーシスがあると考えて、すぐに十分な検査、治療のできる病院へ緊急搬送することが重要と考えます。


Q7 アセトン血性嘔吐症やケトン性低血糖症のような反復性のケトーシスのある患者さんにおいて、ケトン体代謝異常症を疑ってどこまで検査しておくべきでしょうか?

A7 一度は典型的な発作時の血液ガス、血糖、アンモニア、遊離脂肪酸、ケトン体をチェックし、血液ガスでpH7.3, HCO3で15を下回らないこと、ケトン体と遊離脂肪酸が同時に上昇(遊離脂肪酸/ケトン体比>0.3)を確認しておくべきと考えます。特に初回発作は反復していないわけですので、すぐケトンがでているからと安易にアセトン血性嘔吐症やケトン性低血糖症としないで、上記のような検査をしておくべきと考えます。低身長がないか?などを含めて内分泌的な検索もしてください。